草津市子ども家庭部 子育て支援センター主催

講演:「最近の親子関係について思うこと」-プティット草津ルームの事例から-
講師:プティット草津ルーム 所長 三好裕子

 

講演の要旨

パートタイムで仕事をしながら、子育てのまっただ中で保育所探しに困っていた事、仕事と子育ての両立に悩んだ経験を事業にするという決断をして以来、認可外保育所経営は、既に15年経ちました。
プティット草津ルームは、滋賀県で初めて24時間年中無休の認可外保育所だったこと、当時の認可外に対する世間の評価は低く、保護者の信頼を得るには大変な労力と時間が必要でした。決して順風満帆ではなかった保育所経営を軌道に乗せる為に何が必要か、保護者の信頼、その次に行政との良好な関係を構築する事と考え、足しげく市役所に通っては、私の取組みについて資料を作って説明する等、積極的なPR活動に努めていました。今、時代は、認可外保育所に対する保護者の捉え方が十年前と変わった、という事です。

講演会の様子身近に情報が入手できるようになった事、認可保育所においても延長保育、休日保育の取組みがなされてきている事、今の子育て世代にとって、情報の量の多さ、選択肢が広がった等、多岐にわたる情報社会で暮らしている世代の価値観の多様性という背景があるのかもしれません。私の保育所を巣立っていった子ども達も、高校生になっていると思うと、何かしら感慨深いものがあります。

24時間開いている保育所には、夜間預けられる子どもがいますので、昼間と違った配慮が大切になります。
子ども達が安心して夜を過ごせる環境づくりは、大切な事なのですが、認可外保育所として出来る事は、本当に限られているのです。
それでも、できる限り私の保育所では、子どもの寂しさをしっかり受け止め、親の思いにも寄り添う気持ちを忘れず、ことば一つにも細かな配慮を心がける大切さを、職員の間で共有できるよう努めてきました。

さて、最近の親子関係について言えば、ひとり親家庭が増加していること。そして、子どもを連れて再婚し、新たな家族関係が構築されるケースで、以前私の保育所において考えさせられる出来事がありました。

その前に、ひとり親家庭の実態を知る為に、平成23年厚生労働省人口動態統計によると、年齢5階級別の年齢層でいう、離婚して再婚する年齢は、30歳から39歳が男女共にトップを占めており、同データによれば、子どもがいる離婚の場合、8割超が妻が子の親権を持つということが分ります。
また、平成23年の統計によれば、母子家庭における母親の年間所得は、平均181万円(月額15万円)であり、父子家庭の年間所得360万円の約2分の1ということが分ります。

経済的な負担が解消され、新しい親になじんで欲しいと願うお母さんにとって、子どもと新しい父親との関係がうまくいく事が一番の願いだったと思います。
しかし、この家族は、後に残念な事態に陥り、そのしわ寄せは子どもに向けられてしまったのです。
私の保育所に通っていた頃、最初はいいお父さんになろうと頑張っていた姿を鮮明に覚えていたので、私は考えた末、父親と話をすることにしました。血のつながりのない子どもの父親になると決断した事に着目し、その時の思いや、本音の気持ちを引き出せるよう配慮しながらお話を聞かせて頂きました。
実の親子関係でさえ、子は親の思う通りにならない、親の思いと子の思いのズレによる親子の対立、子の成長と共に、親子間の関係が変化し、また距離感も変化していく、このような経験は、子育てを卒業した者にしか語れない事かもしれません。今どうしているのか、私の記憶に残る親子の姿です。

講演者の三好裕子24時間預かる保育所では、子どもが夜間に発熱する事もあり、夜勤のお仕事をされているお母さんから依頼を受け、夜間診療所に子どもを連れていく事もあります。
救急診療所の夜間入口を入って、受診する間シーンと静まり返った待ち合い室で、子どもの熱い体をしっかりだきしめて、不安な思いで診察を待っていた事が懐かしく思い出されます。

私の事業は、幼い子どもとその保護者と関わる仕事という性格から、職員ひとりひとりが人として成長する事が求められる、そのように考えています。
今年は、保育内容の見直しと職員の個別人材育成計画を作成する事を目標に掲げました。「保育の質は、保育者の質」との思いから、一人ひとりの特性を分析し、保育技術の向上の為に、課題を設定し、レポートによる提出等の取組みを行いました。
何事もコツコツと積み上げていけば、評価をして頂けるものだと痛感しています。

認可外保育所の存在価値は何か、この一点に集中した取組みを実践し続けてきましたが、更なる高みを目指して保護者に安心して利用して頂けるように、また、ここに預けて良かったと思っていただけるよう、これからも前進してきたいと考えています。

(おわり)